NCCC等を通じて掲げられたミッション「健康的で安全な地域社会を築く」を達成するために立てられた目標は
①子供の学習環境の整備
②虚弱者、障害者、慢性病患者の尊厳と支援の保証
③暴力の遮断
④家庭の絆の強化
⑤経済的自立の達成と住居保有の推進
⑥差別と不平等の排除
⑦精神的、身体的健康の達成と保持
⑧災害からの防衛、救済と補償の充実
であった。
ここからは、それぞれの目標について、現状の問題点(ニーズ)と問題解決のための効果的な施策(あるいは、施策例)を見てみる。
①子供達の学習環境を整える
「問題点(ニーズ)」
(1)子供の教育は将来の社会にとって重要な投資であるにもかかわらず、学習を受けていない子供の数が増えている。栄養不足や肉体的、性的な虐待を受けた子、英語が第二ヶ国語である子供達が増えてい。その結果、退学者が増え、識字率の低下をもたらし、若者が適切な職業につくことを困難にしている。(参考、ある統計によると小学校4年生の41%、中学校2年生の31%、高校3年生の25%は学年水準の読み書きができない。また、高校卒業生の13%は、小学校6年生程度の読み書きしか出来ない。)
(2)子供に学習をさせようという努力を妨げている要素が二つある。第一は社会的に家族を支援する構造が退化していることであり、教育のための機会の減少が、健康、貧困、暴力などの事態をより悪化させている。第二は多くの公立学校における資金の不足であり、必要な教育用資材を買ったり、課外活動を実施したり、優れた教師を雇うことさえできないでいる。(参考、アメリカの子供の40%が貧困、不安定な住居あるいは少数人種ゆえの困難などのために、教育的に危機に直面している。)
(3)上記(1)と(2)の問題を起こしている原因は、学校内部、両親と教師、学校と行政関係者の間のコミュニケーションの不足にある。この複雑で道遠い問題の解決は、子供たちが学習を受け入れられる新しい環境を創っていくために、教師、両親、行政サービス、地域グループなどの間の複合的なパートナーシップの形成。(参考、少年犯罪の増加が教育環境を瓦解させている。1986年から1990年の間に少年犯罪は10%増えた。)
「対応策」
(1)子供達に「学習のこつ」を教え、自己の表現能力、芸術的活動能力を育てるプログラム。(これらは子供たちの自尊心を養い、紛争解決の技術を身につけさせることができる。)
(2)出産前の用事の健康管理、栄養や育児に関する相談など、家庭訪問や地域の保健センターを通じて、貧困など危機的状況にある家族を援助するプログラム。
(3)生徒の出席率の向上、学業の予習、生活教育の改善に力を注いでいる高校の卒業生の雇用を優先するように、地元企業を鼓舞するプログラム。
(4)中年の人たちが子供の指導や世話をしたり、放課後の家庭学習を助けたりする世代間プログラム。
(5)低収入の家庭の子供達を世話するプログラム。
(6)識字率(読み書き能力)向上のプログラム。
このブログでは初めて使うが、「CalWORKs」においても、同様の問題がある。これらは北カリフォルニアでの活動だが、南カリフォルニアのようなより「多民族社会」になると、幼児期の教育において、言語の違いによる学習の困難が無視できない。学校では英語、自宅ではスペイン語、スパングリッシュといわれる問題であるが、学習の理解の困難は、学習意欲を低下させ自信の喪失につながる。よって、リテラシー(読み書き)プログラムが、重要である。
また、ここでは触れないが「階層化日本と学歴社会」という大変示唆的な本でも明らかにされているように、環境が学習意欲に与える影響は多大である。そこには別の問題が、「視えずの空間」のほうで書くが、あるので容易には解決されないが学習能力低下が個人問題の範囲だけではない、という事は重要なポイントだ。